ベンガラ

ベンガラ

ベンガラ職人の中島留彦氏と大正紡績のコラボで生まれたオーガニックコットン糸。
ベンガラは古代から伝わる、私たちが知る最も環境負荷の少ない染色方法のひとつです。

ベンガラは、赤鉄鉱として産出する酸化鉄のことで、洞窟壁画に見られるように人類が最初に使った赤色の無機顔料です。
このベンガラの燃焼温度や粒子サイズ、また他の無機顔料(例えば黒色を発するコバルトや緑色の銅など)との調合により、赤以外の色も作り出しています。

オーガニックコットン(綿)をベンガラ染めする際は、まず、コットンの2倍重量の水に10分の1重量の粉末状ベンガラ染料を入れます。
5㎏のコットンを染めるのであれば、必要な水はわずか10リットルです。
その中にコットンを入れてひたすらもみ続けます。
ベンガラ染料が綿に行き渡ったところで、ラテックス(液状天然ゴム)や呉汁(豆乳)を入れ、色を固定させます。
化学的な固着剤は一切使用していません。

排水はまったく出ません。
水分はすべてコットンに吸収され、乾燥の際に水蒸気として大気に放出されます。
しかも使用するのは常温の水でCO₂の排出もありません。
環境には優しいですが、天然の顔料を使用し、化学処理をせず手で染めただけなので、多少の色ぶれや色落ちはします。
そのせいか、この糸は約15年前に開発されましたがあまり売れていません。
それでも、私たちはこの糸を作り続けてきました。
そして今、やっと世界が環境について真剣に考え始め、この糸の価値が認められる時代になりました。